グラファイトに関する結晶学的情報は乏しい。 一般に六角形で、底面には明瞭な劈開があるとされているが、劈開面以外にはほとんど観察されたことはない。 最も早く観察したKenngottは、最も良い結晶を入手して面を測定し、その面には10͟11と11͞21という指標を与え、基底面0001に対してそれぞれ58°と70°18’の角度を作ったようである。 (これらの結果は、X線測定によって、対応する角度が58°8’と70°13’であることが、顕著に確認された)。 ノルデンスキオルドは、その角度のばらつきから単斜晶系と考えたが、彼の結論はシェーグレンによって疑問視され、非常に充実した論文の中で、多くの理由(双晶、パーカッションとエッチ図形、熱伝導率)を挙げて、黒鉛が六角形であることを証明した。 ごく最近、ゴーベールの研究により、グラファイトの光学的性質についての知識が加わった。 このことは、グラファイトが三角六角対称であることを決定づけた。 グラファイトのX線分析は、ダイヤモンドのそれに比べてかなり遅れている。 1914年にブラッグが劈開面の間隔を測定したところ、3-42AUであった。同年、エワルドが結晶軸に垂直なラウエ写真を撮影し、六方晶系であることが確認されている。 1917年、ハル、デバイとシェラーが粉末法により、その構造の詳細な解釈を試みた。 両者ともこの元素に構造を割り当てることができたが、これらの構造は異なる格子を持ち、異なる結晶系に属している。 原著論文を調べてみると、どちらの研究者の観察結果も、彼らが提案した構造とはあまり一致しておらず、観察結果は互いに大まかな一致を示しているに過ぎない。 このことは、特に強度の問題で顕著である。 全体としては、Hullの結果の方がより妥当である。なぜなら、彼はスクリーニングによってMoのKα線とKβ線を分離したが、DebyeとScherrerは、後で示すように、しばしばα線とβ線とを取り違えてしまったからである。 その後、Backhurstはグラファイトの膨張と反射強度に対する温度の影響という観点から、いくつかの測定を行っている