ABSTRACT

win ratioは2012年にPocockらによって初めて提案され,複合エンドポイントを,その成分の臨床的重要性の順序と相対的タイミングを考慮しながら分析するものである. その後、方法論だけでなく、アプリケーションにおいても大きな注目を集めている。 臨床試験の中には層別解析が必要なものも珍しくない。 本稿では,Mantel-Haenszel層別オッズ比と同様の方法で層別勝率統計量を提案し,その分散推定量の一般形を,2つの治療群の勝率の既存または潜在的に新しい分散/共分散推定量をプラグインして導き,シミュレーション研究によりその統計的性能を評価する. シミュレーションの結果,我々の提案するMantel-Haenszel型層別勝率は,勝率がオッズ比に減少する単純化された状況ではMantel-Haenszel層別オッズ比と同様の性能を示し,特にデータが疎な場合には逆変量重み付け勝率や重み付けなし勝率よりも我々の提案する層別勝率が好まれることが示された. また,層別勝率が層間で均質であるかどうかを評価するCochranのアプローチに従って均質性検定を定式化した。この方法はメタアナリシスで頻繁に用いられており,勝率の均質性に関するより良い検定がまだ利用できないからである