結果

トリプシン切断後のAMCの蛍光強度をモニターするために最大発光波長を求め、励起および発光スペクトルを測定し図1に示しました。 最大発光波長は440 nmであることがわかりました。

50 μmol/L of AMC
の発光(青)および蛍光(赤)スペクトル図1. 50μmol/LのAMCの発光(青)および蛍光(赤)スペクトル

測定した酵素溶液の蛍光強度を単離AMCの濃度に標準化するために、滴定を行って蛍光を測定しました。 50 µmol/L AMC 溶液の 0.5 mL アリコートを 2.5 mL の酵素溶液に加え、単離 AMC の初期濃度と最終濃度を表 1 にまとめました

表 1. 蛍光強度標準化前後の単離AMC濃度。

初期濃度 3 6 15 30 60 120 240
最終濃度 0.3 0.5 1 2.5 5 10 20 40

その後、トリプシン活性のキネティクスは単離AMCによる基質の切断時の蛍光強度測定により得た。 図2は、2.5mLの酵素溶液に0.5mLの濃度の異なるBoc-Gln-Ala-Arg-MCA基質溶液を加えた後のタイムコース測定を示す。

酵素溶液に加えた基質の濃度を変えたときの蛍光強度を示す。 基質濃度は表1に見られる最終濃度である。
図2. 酵素溶液に添加する基質濃度を変化させたときの蛍光強度。 基質濃度は表1の最終濃度。

Kinetics Analysisプログラムを用いて、図2の蛍光時間経過測定値からLineweaver-Burkグラフ(図3)をプロットした。 Lineweaver-Burkプロットは、反応の最大速度Vmaxやミカエリス-メンテン定数Kmなどの酵素動力学パラメータを提供する。 Vmaxは酵素が基質で飽和したときの反応速度を表し、Kmは最大反応速度に達するための基質の量を示す。 Vmaxは35,270nmol/L-min-1、Kmは5.99であった。 直線の方程式は1/v = 0.000270 – 1/ + 0.0000284.

Lineweaver-Burk plot
Figure 3.のようになった。 Lineweaver-Burkプロット