lacオペロン-誘導性システム

分子レベルで行われた最初の酵素生産の制御システムは、大腸菌細胞内の糖質ラクトースの存在に応答して生産する酵素の制御について述べたものである。 この研究は、ヤコブとモノーが行い、ノーベル賞を受賞した。 以下は、グルコースとガラクトースの生産に至る経路である。

Lactose -----------------------------------> Glucose + Galactose
ß-galactosidase

大腸菌の細胞内で乳糖の代謝に関与するいくつかのタンパク質。β-ガラクトシダーゼ – ラクトースをグルコースとガラクトースに変換する

  • β-ガラクトシドパーミアーゼ – ラクトースを細胞に輸送する
  • β-ガラクトシドトランスアセチル化酵素 – 機能不明
  • このシステムの研究は、構成的突然変異体が利用可能となり大いに発展している。 これらの変異体では、上記のタンパク質は、乳糖の存在下でのみ出現する野生型と比較して、常に生成されていた。 以下はオペロンの遺伝子構造である。

    lacオペロンの制御回路

     I P O || Z | Y | A |_________________________________________________________
    Controlling || Structural genes
    Region
    lacオペロン遺伝子 遺伝子機能

    I

    リプレッサー蛋白の遺伝子

    P

    プロモーター

    O

    オペレーター

    lac Z

    β-グルカンの遺伝子ガラクトシダーゼ

    lac Y

    β-ガラクトシド透過酵素の遺伝子

    lac A

    β-を透過する遺伝子ガラクトシドトランスアセチラーゼ

    オペロン-グループとして発現する構造遺伝子群とそれに関連するプロモーターおよびオペレーター

    システムはどのように働くのか。 ラクトースが細胞内にない場合、リプレッサータンパク質がオペレーターに結合し、RNAポリメラーゼが3つの構造遺伝子に読み込まれるのを阻止する。 ラクトースがある場合、ラクトースはリプレッサーに結合する。 このとき、リプレッサーの構造が変化し、オペレーターとの親和性が失われる。 そして、RNAポリメラーゼはプロモーターに結合し、構造遺伝子を転写することができるようになる。 この系ではラクトースはエフェクター分子として働く。

    エフェクター分子-リプレッサーと相互作用し、リプレッサーのオペレーターに対する親和性に影響を与える分子

    以上の情報から、さまざまな変異体がlacオペロン遺伝子発現に与える影響を予測できるようになりました。

    I-

    I-

    <3629>

    変異体 lac 遺伝子 変異体表現型

    I-

    オペレーターが閉じないので構成的に発現

    O-

    リプレッサー蛋白質が結合できないため構成的発現

    P-.

    RNAポリメラーゼが結合できずオペロンが発現しない

    lac Z-

    乳糖からグルコースまたはガラクトース生成しない

    lac Y-

    <3643> <3649> lac Z- <3829> <4829> <3829> <4829> <3829> <38295> lac X ラクトースは細胞内に取り込まれないので誘導されない

    lac OperonのCatabolite Repression

    ラクトースはE. coliにとって好ましい炭水化物源ではない。 もしラクトースとグルコースが存在すると、lacオペロンがオンになる前に細胞はグルコースを全て使ってしまう。 このような制御をカタボライト抑制と呼ぶ。 ラクトースの代謝を防ぐために、第二レベルの遺伝子発現制御が存在する。 lacオペロンのプロモーターは2つの結合部位を持っている。 一つはRNAポリメラーゼが結合する部位であり、もう一つはカタボリック活性化タンパク質(CAP)とサイクリックAMP(cAMP)の複合体が結合する部位である。 CAP-cAMP複合体がプロモーター部位に結合することが、lacオペロンの転写に必要である。 この複合体の存在は、細胞内のグルコースの存在と密接に関連している。 グルコース濃度が増加すると、cAMPの量は減少する。 cAMPが減少すると、複合体の量も減少する。 この複合体の減少はプロモーターを不活性化し、lacオペロンを停止させる。 CAP-cAMP複合体は転写に必要であるため、lacオペロンの発現を正に制御していることになる。